
最終更新日:2026.10.07
公開日:2026.10.07
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ピッキング方式3種類の違いと使い分け|シングル・トータル・マルチを比較
はじめに
庫内の生産性を左右する要素のなかで、見直すのに気づきにくいのがピッキング方式です。自動化のためにロボットの検討は進めても、「そもそもどの方式でピッキングをしているか」は長年変えていない、という現場は少なくありません。
ピッキング方式が現場に合っていないまま作業を続けていると、人を増やしても生産性が上がらないという状態になります。この記事では、代表的な3方式の違いと、自社に合う方式を選ぶための判断軸を解説します。
ひとことでいうと
ピッキング方式は、シングルピッキング(摘み取り式)、トータルピッキング(種まき式)、マルチピッキングの3種類が基本です。違いは「仕分けをいつ行うか」にあります。シングルは1オーダーずつ拾うため仕分けが不要、トータルは商品単位でまとめて拾って後工程で仕分け、マルチは複数オーダーを拾いながら同時に仕分けます。選ぶ基準は、オーダー件数、1オーダーあたりの行数、商品の重複度の3つです。
ピッキング方式は3種類
ピッキングとは、出荷指示にもとづいて保管場所から商品を取り出す作業です。庫内作業のなかで最も人手と時間がかかる工程とされ、作業時間の多くが歩行と探索に費やされています。
この作業の進め方には3つの方式があり、違いは「仕分けをいつ行うか」です。
| 比較項目 | シングルピッキング | トータルピッキング | マルチピッキング |
|---|---|---|---|
| 別名 | 摘み取り式/オーダーピッキング | 種まき式/アソート | マルチオーダーピッキング |
| 拾う単位 | 1オーダーずつ | 商品単位でまとめて | 複数オーダーを同時に |
| 仕分けのタイミング | 不要 | 後工程で行う | 拾いながら同時に行う |
| 歩行回数 | オーダー件数に比例 | 商品種類数に比例 | まとめた件数の分だけ削減 |
| 仕分けスペース | 不要 | 必要 | 不要(カート上で完結) |
| ミスのリスク | 低い | 仕分け工程で発生しやすい | 入れ間違いが起きやすい |
| 向いている現場 | 件数が少なく、1件の行数が多い | 件数が多く、商品の重複が多い | 件数が多く、仕分けスペースが取れない |
シングルピッキング(摘み取り式)
1件のオーダーに対して必要な商品を順に集めて回る方式です。1周すればそのオーダーの出荷準備が完了するため、仕分け工程が不要になります。一方、オーダーが100件あれば100往復が発生するため、件数が増えるほど歩行距離が長くなります。詳しくはシングルピッキングとはをご覧ください。
トータルピッキング(種まき式)
複数オーダー分の商品を商品単位でまとめて集め、その後に出荷先ごとへ分配する方式です。50件のオーダーに同じ商品が含まれていても、棚へ行くのは1回で済みます。ただしピッキング後に仕分け工程が必ず発生し、そのための作業スペースが必要になります。詳しくはトータルピッキングとは?用語とメリットを解説をご覧ください。
マルチピッキング
オーダーごとの箱をカートに載せ、複数オーダー分を拾いながら、その場で各箱へ振り分けていく方式です。歩行を減らしつつ仕分け工程も省けますが、入れ間違いのリスクが高い点に注意が必要です。詳しくはマルチピッキングとは?メリットと他の手法との比較をご覧ください。
バッチピッキングはどこに位置づけられるか
現場や文献によって呼び方が揺れやすいのが「バッチピッキング」です。これは特定の1方式を指すというより、複数オーダーをまとめて拾う進め方の総称として使われます。まとめて拾ったあとに仕分けを行えばトータルピッキング、拾いながら同時に仕分ければマルチピッキングになります。社内で用語を揃える際は、「まとめて拾うか」と「いつ仕分けるか」の2軸で整理すると混乱しにくいです。
どの方式を選ぶか|3つの判断軸
1. オーダー件数
1日のオーダー件数が少なければシングルで十分です。件数が増えるほど歩行回数が比例して増えるため、まとめて拾う方式の優位性が高まります。2. 1オーダーあたりの行数
1件で10行、20行とピッキングする現場は、1周で多くを回収できるためシングルが効率的です。逆に1オーダー1〜2行という現場でシングルを続けると、作業時間のほとんどが移動になります。ECの小口出荷が典型例です。3. 商品の重複度
同じ商品が多くのオーダーに含まれているほど、トータルの効果が出ます。逆に全オーダーがばらばらの商品で構成されている現場では、歩行削減効果が小さく、仕分け工程の手間だけが増えます。この3つは、いずれも自社の出荷実績データから算出できます。感覚ではなく数字で確認することが重要です。
ピッキング方式を変える前に確認すること
ピッキング方式の変更は、レイアウトと人員配置の変更を伴います。着手前に次を確認する必要があります。
- ロケーション管理が整っているか:どの方式でも、商品の保管場所が正確に管理されていることが前提です(ロケーション管理とは)
- 出荷データを分析したか:オーダー件数、1件あたりの行数、商品の重複度の3つを算出します
- 仕分けスペースを確保できるか:トータルに変える場合、仕分けエリアの面積が必要です
- 繁忙期を避けているか:作業手順が大きく変わるため、余裕のある時期に実施してください
なお、ピッキング方式の最適化で削減できる範囲には限界があります。どの方式でも、作業時間の多くは歩行と探索となってしまうためです。GTP(Goods To Person)方式のようにロボットが棚ごと作業者のもとへ運ぶ手段を使えば、歩行そのものをなくすことができます。ピッキング方式選びと並行して、自動化機器を導入する選択肢も検討する価値があります。
よくある質問(FAQ)
Q. ピッキング方式には何種類ありますか?
A. シングルピッキング(摘み取り式)、トータルピッキング(種まき式)、マルチピッキングの3種類が基本です。違いは仕分けをいつ行うかにあり、シングルは不要、トータルは後工程、マルチは拾いながら同時に行います。
Q. トータルピッキングとマルチピッキングの違いは何ですか?
A. 仕分けのタイミングが異なります。どちらも複数オーダー分をまとめて拾いますが、トータルは商品単位で集めてから後工程で仕分けるのに対し、マルチはオーダーごとの箱に拾いながら同時に振り分けます。マルチは仕分けスペースが不要な代わりに、入れ間違いのリスクが高くなります。
Q. バッチピッキングとは何ですか?
A. 特定の1方式を指す言葉ではなく、複数オーダーをまとめて拾う進め方の総称として使われます。まとめて拾ったあとに仕分けを行えばトータルピッキング、拾いながら同時に仕分ければマルチピッキングにあたります。
Q. EC出荷にはどの方式が向いていますか?
A. 一般的にはトータルかマルチが向いています。ECは1オーダーあたりの行数が少なく件数が多いため、シングルでは移動時間の比率が大きくなりすぎるためです。
まとめ
ピッキング方式は、シングル・トータル・マルチの3種類が基本で、違いは仕分けをいつ行うかにあります。判断の基準は、オーダー件数、1オーダーあたりの行数、商品の重複度です。
まずは出荷データを開き、オーダー件数と平均行数を出すところから始めてみてください。現状の方式が実態と合っていないことに気づくケースは少なくありません。
各方式の詳しい解説はこちら
Robowareでは、現場の作業実態の分析から、適した自動化手段のご提案までを行っています。どの工程に手をつけるべきか判断がつかない段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

執筆者:Robowareマーケティングチーム
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