最終更新日:2025.06.17
公開日:2025.06.17
- #基礎知識
物流センターのDXを成功させる自動化導入5ステップと失敗しない選び方
はじめに
物流センターの自動化推進は、どう進めたら良いのかお悩みではないでしょうか?費用もかかるし、失敗もしたくありません。社内稟議の進め方や調整、自動化推進担当は多くの悩みを持っているかと思います。
物流自動化は、正しいステップを踏み、ポイントを押さえれば進めることができます。この記事では、物流自動化を「成功させるための導入5ステップ」と、「失敗しないための具体的な選び方」を、専門知識がなくてもスムーズに理解できるよう、分かりやすく解説していきます。
なぜ物流センターの自動化が求められるか
自動化推進担当者であれば既知の情報かもしれませんが、物流センターの自動化が、なぜこれほどまでに注目されているのでしょうか?その背景には、いくつかの大きな課題があります。
1. 深刻な人手不足
日本の労働人口は減り続けており、特に物流現場は重労働というイメージから、人手不足が深刻化しています。商品の量が増えても、それを扱う人がいなければ、物流は止まってしまいます。
2. 「2024年問題」に代表される働き方の変化
トラックドライバーさんの働き方が見直され、労働時間に制限がかかる「2024年問題」が目前に迫っています。これは、これまでと同じように荷物を運べなくなる可能性を示しており、物流全体の効率化が急務となっています。
3. 消費者ニーズの変化と多様化
インターネット通販の普及により、消費者は「注文したらすぐに届く」ことを当たり前のように求めるようになりました。また、商品の種類も増え、一つ一つの注文が小ロットになる傾向があります。これらに柔軟に対応するためには、よりスピーディーで正確な物流が不可欠です。
これらの課題を解決し、安定した物流を維持するためには、人の手による作業に限界があることを認め、機械やシステムの力を借りる「自動化」が、もはや避けられない道となっているのです。
物流自動化を成功させるための導入5ステップ
それでは、具体的にどのように自動化を進めていけば良いのでしょうか?ここからは、物流自動化を成功に導くための5つのステップを解説します。
「どこを自動化すべきか」を知るためには、まず、今の物流センターが「どうなっているか」を正確に知ることが重要です。
・作業の洗い出し
商品の入庫から出庫まで、どのような作業が行われているか、一つ一つリストアップしてみましょう。
・時間の計測
それぞれの作業にどれくらいの時間がかかっているか、実際に測ってみましょう。特に時間がかかっている作業はどこですか?
・ミスの発生状況
どんな時に、どんなミスが起きているか(誤出荷、破損など)を記録してみましょう。
・人件費の内訳
どの作業に、どれだけの人件費がかかっているかを把握しましょう。
この「見える化」を通じて、「この作業は無駄が多いな」「この工程でよくミスが起きているな」「この部分に一番人件費がかかっているな」といった具体的な課題が見えてくるはずです。これが、自動化の最初のヒントになります。
課題が見えてきたら、それを解決できる「自動化の道具」を探します。物流自動化には、様々な種類の「ソリューション」(解決策となるシステムや機械)があります。
ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
・倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)
イメージは、倉庫の司令塔のようなものです。
役割 | 倉庫の中にある商品の場所、数、種類などをコンピューターで正確に管理するシステムです。 | 解決できる課題 | 「商品がどこにあるか分からない」「在庫数が合わない」「ピッキングに時間がかかる」といった問題を解決し、手作業での管理ミスをなくします。 |
・無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle / AMR:Autonomous Mobile Robot)
イメージは、自動で走る台車ロボットです。
役割 | 人間が操作しなくても、決められたルートや自分で判断して、荷物を自動で運んでくれるロボットです。 | 解決できる課題 | 「重い物を運ぶのが大変」「人が歩き回る時間が無駄」といった課題を解決し、運搬作業の負担を減らします。 |
・自動仕分け機、自動梱包機
イメージは、高速で商品を振り分けるマシーンや、自動で箱詰めしてくれる機械です。
役割 | 届いた商品を自動で方面別に仕分けたり、ダンボールに自動で梱包したりする機械です。 | 解決できる課題 | 膨大な量の商品の仕分けや梱包作業を高速・正確に行い、人件費と時間を削減します。 |
これらのソリューションの中から、ステップ1で見つけた課題を解決できるもの、そして予算に合ったものを選んで検討していきます。
「どの自動化ソリューションが良さそうか」という目星がついたら、具体的な導入計画を立てていきます。
導入の範囲を決める: 全ての工程を一度に自動化するのか、それとも一部の工程だけを自動化するのかを決めましょう。最初は小さく始めて、徐々に広げていく「スモールスタート」も有効です。
導入期間を決める: いつまでに導入を完了させるのか、おおよそのスケジュールを立てます。
導入期間を決める: いつまでに導入を完了させるのか、おおよそのスケジュールを立てます。
費用対効果の試算: これが非常に重要です。
導入にかかる費用: システムや機械の購入費、設置工事費、運用にかかる費用などを洗い出します。
削減できる効果: 自動化によって削減できる人件費、作業時間、ミスの削減による損失減少額などを計算します。
投資回収期間: 導入費用が、削減できる効果で何年で回収できるかを計算します。この数字が短ければ短いほど、投資の価値が高いと言えます。
この段階で、複数のソリューションやベンダー(システムや機械を提供してくれる会社)から見積もりを取り、比較検討することが大切です。
計画が固まったら、実際に導入を進めてくれる「ベンダー」を選びます。
【ベンダー選びのポイント】
実績:自社と似た規模や業種の導入実績があるか。
サポート体制:導入後のトラブル対応やメンテナンスの体制がしっかりしているか。
担当者の対応:質問に丁寧に答えてくれるか、こちらの要望をしっかり聞いてくれるか。
費用と内容のバランス:提示された費用が、期待する機能やサービスに見合っているか。
ベンダーが決まったら、いよいよシステムや機械の導入が始まります。設置工事、システムの設定、そして「テスト運用」が重要です。テスト運用では、実際に商品を使って動かしてみて、問題がないか、想定通りに動くかを確認します。
テスト運用で問題がなければ、いよいよ本格的な運用開始です。しかし、これで終わりではありません。
従業員の教育: 新しいシステムや機械の使い方を、実際に使う従業員にしっかり教えることが大切です。
効果の確認: 導入前に試算した費用対効果が、実際に得られているかを確認します。
効果の確認: 導入前に試算した費用対効果が、実際に得られているかを確認します。
改善: 運用していく中で、予期せぬ問題や、もっと効率化できる点が見つかることもあります。そうした課題を一つ一つ解決し、より良いシステムにしていくための「改善活動」を継続することが大切です。
自動化は、一度導入したら終わり、というものではありません。常に改善を繰り返すことで、その効果を最大限に引き出すことができます。
失敗しないための「具体的な選び方」のヒント
これまで5つのステップをご紹介しましたが、ここからは特に「選び方」に焦点を当てて、失敗しないためのヒントをお伝えします。
1. 「全てを自動化する」という考え方を捨てる
初めて自動化を検討する際に、「とにかく全部自動化したい!」と思ってしまうかもしれませんが、これは失敗のもとです。費用が膨大になるだけでなく、導入後の運用が複雑になりすぎて、かえって非効率になることもあります。
まずは、最も困っている部分、最も効果が出そうな部分から、スモールスタートで自動化を進めるのが賢明です。
2. 将来の拡張性を考える
現時点では一部の自動化で十分でも、将来的に事業が拡大したり、新しいサービスを始めたりする可能性もあります。その時に、導入したシステムが将来の拡張に対応できるか、他のシステムと連携できるかなども、ベンダーに確認しておきましょう。
「今」だけでなく、「未来」を見据えた選択が重要です。
3. サポート体制を重視する
どんなに優れたシステムや機械でも、トラブルはつきものです。導入後のサポート体制がしっかりしているベンダーを選ぶことは、非常に大切です。
困ったときにすぐに相談できるか?
定期的なメンテナンスはしてもらえるか?
新しい機能への対応はどうか?
これらの点を確認し、長く安心して付き合えるベンダーを選びましょう。
4. 費用対効果だけでなく、「現場の声」も聞く
費用対効果の試算は重要ですが、それだけで決めてしまうのは危険です。実際にそのシステムや機械を使うことになる現場の従業員の意見も、必ず聞きましょう。
「操作が難しすぎる」「作業が逆に増えた」といった現場からの不満は、せっかく導入した自動化が無駄になってしまう原因にもなりかねません。現場が使いやすいかどうかも、重要な判断基準です。
5. 補助金・助成金の活用を検討する
国や自治体は、中小企業のDX推進や省力化を支援するための補助金や助成金制度を用意しています。これらの制度を活用すれば、導入費用の一部をカバーできる可能性があります。
情報を収集し、条件に合うものがないか確認してみましょう。
まとめ
物流自動化は、まずは現状の課題をしっかり把握し、小さなことから自動化を進める計画をはじめることが重要です。そして、信頼できる伴走できるベンダーと共に成功へと導きましょう。物流ロボットを取り扱っている「Roboware」では、ロボットの提供・ソフトウェア・カスタマーサクセスが三位一体となったサービスなので、導入前から導入後まで倉庫の自動化の運用を最大化する体制が整っています。相談は無料なのでまずはラフにお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
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