
最終更新日:2026.09.17
公開日:2026.04.21
- #基礎知識
物流統括管理者(CLO)とは?2026年義務化の対象企業・役割・罰則を解説
はじめに
2026年4月に施行された改正後の「物資の流通の効率化に関する法律」で、一定規模以上の特定荷主事業者に対し、物流統括管理者(CLO)の選任が義務付けられました。選任を怠れば罰金の対象にもなる、法令上の正式な役職です。海外では、CLOは重要な役職として浸透していますが日本国内ではこれから急速に整えていく必要があります。
一方で「自社は対象になるのか」「誰を選べばよいのか」「選任した後に何をすればよいのか」が分からないという声も多く聞かれます。この記事では、国土交通省・経済産業省が公開する一次情報をもとに、物流統括管理者の定義から対象企業の判定基準、責務、罰則、選任後の実務までを整理して解説します。
この記事の要点(30秒でわかる物流統括管理者)
◆ 定義
企業の物流全体を経営目線で統括管理する責任者。英語のChief Logistics Officerから「CLO」と呼ばれる
◆ 義務化の時期
2026年4月1日(改正物流効率化法の第2段階施行)
◆ 対象企業
特定荷主・特定連鎖化事業者(前年度の取扱貨物重量が9万トン以上)
◆ 選任できる人
事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者(役員等の経営幹部)
◆ 主な責務
中長期計画の作成、事業運営方針・管理体制の整備、定期報告、社内外の連携体制構築の統括管理
◆ 罰則
選任しない場合は100万円以下の罰金、選任の届出を怠った場合は20万円以下の過料
物流統括管理者(CLO)とは
物流統括管理者とは、企業の物流戦略を一元的に統括し、サプライチェーン全体の最適化を推進する責任者です。改正物流効率化法の第47条(荷主)および第66条(連鎖化事業者)に基づき、特定荷主および特定連鎖化事業者に選任が義務付けられています。
通称の「CLO」は、英語のChief Logistics Officer(チーフ・ロジスティクス・オフィサー)の頭文字を取ったものです。
| C | Cheif |
|---|---|
| L | Logistics |
| O | Officer |
「物流統括管理者」と「CLO」は同じもの?
結論としてはほぼ同義で使われますが、厳密には成り立ちが異なります。
- 物流統括管理者:改正物流効率化法で定められた法令上の名称。責務や選任要件が法律・省令で規定されている
- CLO(Chief Logistics Officer):企業が任意に設置する役職名・通称。職責の範囲は企業ごとに異なる
国土交通省の資料でも、法令上の「物流統括管理者」に対して、いわゆるCLOとしての経営管理の視点や役割も期待されると整理されています。つまり法令上の最低限の責務を果たすだけでなく、経営目線で物流改革をリードする存在になることが求められているということです。
物流部長・物流担当役員との違い
従来の物流部門責任者と物流統括管理者では、権限の範囲と責任の性質が大きく異なります。
| 比較軸 | 従来の物流部長 | 物流統括管理者(CLO) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 物流部門の管理者 | 事業運営上の重要な決定に参画する経営幹部 |
| 管掌範囲 | 輸配送・倉庫など物流機能 | 調達・生産・販売・在庫・情報システムを含む全社横断 |
| 主な評価軸 | 物流コストの削減 | 積載効率・荷待ち/荷役時間などの全社KPIと企業価値向上 |
| 社外との関係 | 物流事業者との取引管理が中心 | 調達先・納品先のCLO等との水平連携・垂直連携を推進 |
| 法的責任 | 社内規程に基づく | 法令上の責務あり(未選任は罰金対象) |
なぜ物流統括管理者の選任が義務化されたのか
背景にある「2024年問題」と輸送力不足
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用され、何も対策を講じなければ輸送力不足によって物流が停滞する、いわゆる「物流の2024年問題」が懸念されてきました。
この課題は、運送事業者の努力だけでは解決できません。荷待ち時間の発生も、手荷役の多さも、積載効率の低さも、その多くは荷主側の発注ロット・納品リードタイム・荷姿の設計に起因します。だからこそ改正法では、荷主企業にも物流効率化の責任を求める枠組みが導入されました。
改正物流効率化法は2段階で施行された
| 時期 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 2025年4月 | すべての荷主・物流事業者等 | 積載効率の向上/荷待ち時間の短縮/荷役等時間の短縮に関する努力義務 |
| 2026年4月 | 特定事業者(一定規模以上) | 物流統括管理者の選任(特定荷主・特定連鎖化事業者)、中長期計画の作成、定期報告 |
物流統括管理者の選任が義務となる企業(特定荷主)の判定基準
物流統括管理者の選任義務があるのは、特定荷主および特定連鎖化事業者です。すべての荷主が対象になるわけではありません。
指定基準は「年間の取扱貨物重量9万トン以上」
特定事業者の指定基準値は事業者区分ごとに定められています。
| 事業者区分 | 指定基準値 | CLO選任義務 |
|---|---|---|
| 特定第一種荷主(主に発荷主) | 取扱貨物の重量 9万トン以上 | あり |
| 特定第二種荷主(主に着荷主) | 取扱貨物の重量 9万トン以上 | あり |
| 特定連鎖化事業者(FC本部) | 取扱貨物の重量 9万トン以上 | あり |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両台数 150台以上 | なし |
| 特定倉庫業者 | 貨物の保管量 70万トン以上 | なし |
重要なのは、この重量が事業者全体の取扱量ではなく、第一種荷主・第二種荷主・連鎖化事業者それぞれの立場ごとに算定されるという点です。発荷主としては基準未満でも、着荷主としては基準を超えるというケースがあり得ます。
指定は届出制。一度指定されれば翌年度以降の届出は不要
前年度の実績が指定基準値以上である場合、事業所管大臣に届け出る必要があります。一度届出を行って指定を受けた後は、翌年度以降も引き続き基準値以上であれば再度の届出は不要です。逆に基準値を下回り、再び基準値以上となることがないと明らかに認められるときは、指定の取消しを申し出ることができます。
また、特定事業者として指定された事業者の一覧は国土交通省のサイトで公表されています。自社や取引先の指定状況を確認する際に活用できます。
物流統括管理者に選任できる人の要件
法令上、物流統括管理者の要件は「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」と定められています。国土交通省は、これを重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任される必要がある、と明確に説明しています。
選任にあたって押さえるべきポイント
- 物流部門の部長職であれば誰でもよいわけではなく、経営判断に参画する立場であることが要件
- 求められるのは物流の専門性だけではなく、調達・生産・販売・財務・人事を横断して調整できるゼネラリストとしての能力
- 選任後は、氏名・役職を所管大臣に届け出る必要がある
物流統括管理者の責務と期待される役割
画像著作者:aleksandarlittlewolf/出典:Freepik
法令で定められた業務内容
物流統括管理者は、以下の業務を統括管理する立場にあります(法第47条・第66条ほか)。自ら実務を行うのではなく、社内の体制を設計し、実行を統括する点が特徴です。
- 中長期計画の作成
- 事業運営方針の作成と管理体制の整備(トラックドライバーの負荷低減と、輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するため)
- 定期報告の作成
- 貨物運送の委託・受渡しの状況に関する国からの報告徴収への対応
- 社内の関係部門間の連携体制の構築(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)。リードタイムの確保、発注・発送量の適正化等を目的とする
- 設備投資・デジタル化・物流標準化に向けた事業計画の作成、実施、評価
- 職員の意識向上に向けた社内研修等の実施
- 調達先・納品先等の物流統括管理者や物流事業者との連携・調整
注目したいのは、設備投資・デジタル化・物流標準化が法令上の業務として明記されている点です。計画を作って報告するだけでなく、実際に現場を変える投資判断まで含まれています。
国土交通省が示す5つの期待役割
国土交通省は、法令上の責務にとどまらず、CLOとしての役割も担うことが期待されるとしています。具体的には次の5つです。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| ① 計画及び実行の統括管理 | 物流全体の最適化に係る計画立案と実行の統括。必須かつ最も重要な役割とされる |
| ② 社内での連携・調整 | 部門間のトレードオフを解消し、全体最適の優先順位を決定する |
| ③ 社外との連携・調整 | 取引先・物流事業者との水平連携・垂直連携を推進する |
| ④ ハード・ソフト両面の事業推進 | 設備・システム双方への投資と業務プロセスの見直しを進める |
| ⑤ 体制構築・意識啓発・人材マネジメント | 推進組織の設計、社内教育、人材の確保・育成を行う |
これらをまとめると、物流統括管理者に期待されているのは「決められた業務をこなす現場の管理者」ではなく、幅広い知識で社内外を巻き込み、経営目線で物流戦略を描くリーダーであるといえます。
選任しない場合の罰則
物流統括管理者の選任は努力義務ではなく法的義務であり、違反には罰則が設けられています。
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 物流統括管理者を選任しないとき | 100万円以下の罰金 |
| 物流統括管理者の選任の届出を怠ったとき | 20万円以下の過料 |
| 基準以上であるのに特定事業者の届出をしない/虚偽の届出をしたとき | 50万円以下の罰金 |
加えて、努力義務の実施状況が判断基準に照らして不十分な場合、国による指導・助言、勧告、命令が行われ、勧告に従わない場合は企業名が公表される仕組みになっています。金銭的な負担以上に、荷主としてのレピュテーションリスクが生じる点に注意が必要です。
選任後にやるべきこと|手続きの流れ
特定荷主が対応すべき手続きは、大きく4つあります。それぞれ提出期限が定められているため、「誰が・いつ・何を提出するのか」を社内であらかじめ整理しておくことが欠かせません。
| 順 | 手続き | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 指定の届出 | 前年度の取扱貨物重量が基準以上であることを所管大臣に届け出る(様式第1) |
| 2 | 物流統括管理者の選任・届出 | 指定を受けた後すみやかに選任し、氏名・役職を届け出る(様式第4) |
| 3 | 中長期計画の作成・提出 | 積載効率の向上、荷待ち時間・荷役等時間の短縮に向けた計画を作成し提出する(様式第3) |
| 4 | 定期報告 | 取組状況および実績値を定期的に報告する(様式第5) |
各手続きの最新の様式・提出期限は、国土交通省の「物流効率化法」理解促進ポータルサイトおよび経済産業省が公開する特定荷主向けの手引書で必ずご確認ください。
KPI達成の鍵を握る物流DX・庫内自動化
物流統括管理者(CLO)は、社内外サプライチェーン全体の課題を洗い出し、改善させる責任があります。国が掲げる数値目標を達成するには、物流戦略の見直しが必要です。これらの課題を改善させるには、既存の業務をDXでまずはデータで見える化、そしてそのデータを活用して改善の方法を考えることが重要です。
単に今のアナログな作業をデジタル化をすることがDX化ではなく、デジタル化して作業の平準化や穴となっている課題を改善するための施策として考える必要があります。
属人化した作業がデータ化を阻む
担当者の経験と勘に依存した運用が続いている現場では、作業時間も生産性も標準値が存在しません。ヒューマンエラーのリスクが高いだけでなく、人手不足が進むなかで事業継続そのものが難しくなります。まずはデジタル化によって作業を可視化し、平準化する必要があります。
サプライチェーン全体がリアルタイムに見えない
物流は多くの企業が関わって成立するため、どこで何が起きて遅延しているのかが分かりにくい構造です。定期報告で求められる実績値を正確に把握するためにも、サプライチェーン全体で透明性のあるデータ統一とシステム連携が求められます。
ロボット導入は「荷役等時間の短縮」に直結する
単に今のアナログ作業をデジタルに置き換えることがDXではありません。庫内搬送・ピッキング・仕分けといった工程にロボットを導入すれば、作業時間そのものを短縮できるうえ、稼働データが自動的に蓄積されるため、中長期計画のKPI管理と定期報告の根拠データを同時に整備できます。設備投資やデジタル化の推進は、法令上も物流統括管理者の業務として明記されている領域です。
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よくある質問(FAQ集)
Q. 物流統括管理者とCLOは何が違うのですか?
A. 物流統括管理者は改正物流効率化法で定められた法令上の名称で、責務や選任要件が法律・省令で規定されています。一方CLO(Chief Logistics Officer)は企業が任意に設置する役職名で、職責の範囲は企業ごとに異なります。行政資料では法令上の物流統括管理者をCLOと呼ぶこともあり、実務上はほぼ同義で使われます。
Q. 中小企業も物流統括管理者を選任する必要がありますか?
A. 選任義務があるのは特定荷主・特定連鎖化事業者に指定された企業のみです。前年度の取扱貨物重量が9万トン未満であれば選任義務はなく、すべての荷主に課される努力義務(積載効率の向上、荷待ち時間・荷役等時間の短縮)の対象にとどまります。ただし9万トンは中堅規模でも到達しうる水準のため、自社の数値を確認することをおすすめします。
Q. 物流部長を物流統括管理者に選任してもよいですか?
A. 要件は経営幹部からの選任とされているため、自社の職位・権限が要件に合致するかは所管省庁の手引書やQ&Aで確認してください。
Q. 物流統括管理者を選任しないとどうなりますか?
A. 特定荷主・特定連鎖化事業者が物流統括管理者を選任しないときは100万円以下の罰金が科せられます。また、選任の届出を怠ったときは20万円以下の過料に処せられます。
Q. 貨物の重量を正確に把握していない場合はどう判定すればよいですか?
A. 重量の把握に多大なコストがかかる業種向けに、代替的な換算方法が認められています。商品マスタの重量データからの換算、容積を1立方メートルあたり280kgとして換算する方法、トラックの最大積載量からの換算、売上金額や仕入金額からの換算などが例示されています。
Q. 物流統括管理者の届出はどこに提出しますか?
A. 荷主事業所管大臣宛てに提出します。手続きは原則としてe-Gov電子申請によりオンラインで行い、申請にはGビズID(GビズIDプライム推奨)が必要です。
物流統括管理者の役割を理解し、持続可能な物流戦略をたてましょう
物流統括管理者(CLO)は、一定以上の取扱重量がある特定荷主に2026年4月から義務化されています。2024年問題を背景に様々な物流に関する法改正がされてきましたが、人手不足や労働時間短縮の問題だけではなく、商慣習や物流全体の効率化の見直しが必要となっています。CLOが社内外のステークホルダーと協力や改善促進を行っていきましょう。
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参考・出典
- 国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト|物流統括管理者(CLO)の選任/特定事業者の指定
- 国土交通省「物流統括管理者(CLO)に関わる政策動向について」
- 経済産業省「物流効率化法について」
※本記事は公開時点の公表情報をもとに作成しています。様式・提出期限・運用の詳細は変更される場合があるため、実際の対応にあたっては必ず上記の一次情報をご確認ください。

執筆者:Robowareマーケティングチーム
Robowareは、Gaussy株式会社が運営する物流ロボットサービスです。Gaussy株式会社は、2022年に三菱商事の物流開発部の事業がカーブアウトする形で新設された会社です。国内で検証済みのロボットをソフトウェア・カスタマーサクセスを三位一体で提供しています。ロボットを販売して終わりではなく、運用を最大化するための伴走できる体制が強みです。
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