2021.07.07
- #基礎知識
物流業界における課題と今後の対策についてご紹介!
はじめに
近年、物流業界は労働力不足や災害対策などさまざまな課題を抱えており、一つひとつの課題への対策が急務となっています。IT技術が進歩している今、AIやIoTを導入して課題解決をはかる動きが加速しています。そこで今回は、物流業界における課題と今後の対策についてご紹介します。
物流における現状と課題とは?
現代の物流はさまざまな要因によって多くの課題を抱えています。そこで、まずは物流における現状と課題について解説します。
労働力不足の社会問題化
誰もがパソコンやスマートフォンを所有するようになり、EC市場が活性化して現在では一般消費者一人ひとりが気軽にインターネットを通じてショッピングするようになりました。そのような背景もあって物量は増加し続けており、平成30年度には宅配便取扱個数が43.7億個にまで到達しています。
10年前の平成20年度には約32億個だったことを考えても、10年間で10億個もの荷物が増加していることになります。しかし、この激増した荷物を運ぶための従業員は少子高齢化などに起因する人手不足で十分に確保できていません。企業努力だけでは解消できないために利用者への負担増を実施せざるを得ない状況にあり、労働力不足が社会問題化しているのが実情です。
災害の激甚化・頻発化による物流ネットワークの脆弱性
近年では台風や地震など自然災害が激甚化しており、より頻回になっています。災害が起こると物流の流れが停滞し、大幅な配送遅延等の被害が起こる可能性が想定されるでしょう。国土交通省が2019年にまとめた「今後の災害・物流ネットワークについて」では、熊本地震の際に県内の緊急輸送道路2,000kmのうち50箇所で通行止めが発生したことを課題に挙げています。
「災害時に道路について不安がある・やや不安がある」と答えた人は53.8%にものぼり、災害が起こった際の物流ネットワークをどのように担保するかは重要な課題となっています。
国際物流を取り巻く環境変化
さらに国際物流も年々右肩上がりに発展を続けており、特に2007年頃を境に日本の貿易額はアメリカより中国の方が上回るようになりました。これにより、欧米だけでなくアジアへの物流需要は急激に高まっているといえます。
加えて世界的にみると、気候変動によって従来は輸送ルートに選べなかった北極海航路が夏期に航行できるようになっています。さらに航路の拡張によって新パナマ運河が利用可能になっているなど、貨物の輸送ルートも変化しているといえるでしょう。
2008年から2018年の間に世界の港湾におけるコンテナ取扱個数は1.5倍にまで増加しており、日本だけでなく世界でも海運、空運ともに輸送需要は高まっています。越境サプライチェーンが一体的に構築されているアジア圏での物流競争から取り残されないためにも、国際的な動きに取り残されない物流体制を構築しなければならない状況にあるといえます
物流における新技術の導入の進展
近年では物流における新技術が飛躍的に進展しています。従来のようにピッキングを自分で行わなくても、注文に基づいて棚が自動的に従業員のもとに運ばれてくる技術などがその一例です。加えて電子タグとも呼ばれるRFIDを利用して省人化を実現する技術など、最新のIT技術を駆使して物流業務の大幅な効率化を達成する企業が増えてきているといえるでしょう。
中にはAI技術を活用して効率的な倉庫業務を統括しているケースもあり、今後さらに多くの技術が登場するとみられています。
物流の現状や課題を踏まえた今後の対策
ここまでにご紹介した物流の現状や課題を踏まえて、物流業界が今後取る必要のある対策について解説します。
物流のデジタル化の推進
IT技術の発展に伴って、ロボットやシステムを利用して業務を効率化できる可能性は大きく広がったといえます。しかし国内ではまだアナログで物流業務を行う事業者も多く、デジタル化を積極的に推進していくことが課題になるでしょう。
デジタル化を進めるにあたって従業員の無理解や抵抗感がネックになるケースも多いので、まずは社内でデジタル化の目的を明確にして、従業員に主旨を理解してもらうための準備を整えることが大切です。
労働力不足解決のための、自動化・機械化
人口減少からの労働力不足が避けられないとみられる現状では、労働力不足を解消するために物流業務の自動化や機械化を進めていく必要があります。
人口が減少して立ち行かなくなってから対応しようとするのではなく、日頃から少しずつ準備を進めることでスムーズに将来の人口減少に対応できます。WMSやハンディターミナルの導入など、まずは身近な業務の自動化から始めるのがおすすめです。
物流人材の育成・確保
物流需要が高まり続けている現状ですが、人手不足から十分な物流人材を育成できているとは言い難い状況にあります。将来の物流の担い手となる物流人材を育成・確保することも、安定的な物流を提供する上では必要不可欠です。
物流人材を育成し、自社の問題点を見極めて改善につなげたり新たなビジネススタイルを生み出したりできる人材を確保することで、業務効率の向上にもつながり良い循環を生み出します。
世界の物流はどのように対策している?
世界的にも需要の増加が著しい物流業界ですが、世界ではどのように対策しているのでしょうか。ここで具体的に解説します。
ロジスティクス4.0
これまでのロジスティクスは、トラックなどの配送車を使って物流を機械化する「ロジスティクス1.0」、クレーンやベルトコンベアを使って荷役を機械化した「ロジスティクス2.0」に続いて、WMSなどを導入して物流管理を機械化する「ロジスティクス3.0」にまで到達しています。
そして今、人手不足など新たな課題を解決するために物流は「AI」と「IoT」を駆使した「ロジスティクス4.0」へ移行しつつあります。ロジスティクス4.0が物流がひっ迫しつつある現状を解消する鍵になるといわれています。
●省人化
ロジスティクス4.0では「ロボットによる判断」が可能になることから、物流業務の省人化が期待できます。例えばドローンで目的地に商品を配送したり、配送トラックを自動運転したりなどドライバー不足の解消法が考えられるでしょう。加えて倉庫の作業ロボットを実用化できれば、ピッキングや梱包などの庫内業務の省人化も実現できます。
これまでは人がいなければ操作や判断が難しかった業務でもAIによって機械が判断できるようになれば、人の手を介さずに業務を遂行できる可能性が高まります。
●標準化
現代ではさまざまなデータにあふれており、データの有効活用が業務効率化の大きな助けになるといわれています。配送車両や商品そのものをインターネットと連携して管理すれば、モノの流れがリアルタイムで把握できるようになるでしょう。
これらのデータを長期間蓄積して機械に学習させることで、より効率的な配送ルートを導き出せるようになります。このように人間が考えなくても物流を最適化できるようになれば、人によって異なる判断がなされることを防いで業務の標準化をはかれます。
日本でも物流システムの見直しが必要
日本国内においてはまだまだ物流業務をアナログで進めている企業も多く、人の手に依存して成り立っている現場は数多くみられます。
人手不足がますます深刻化し物流需要は増加していくことが見込まれている以上、今後は日本においても物流システムの見直しが必要になるでしょう。物流業界全体が自分ごととして捉えて対策を重ねることで、業界全体の業務効率が改善します。
AI・ロボットの活用が物流の鍵となる
WMSやハンディターミナル等、単に業務を自動化するシステムは現状でも導入している企業は多いといえます。
しかし今後はAIやロボットを活用して「判断・思考」の部分を自動化することが、物流の業務を大幅に効率化する鍵となるでしょう。人間の実作業の負担を最小限に抑え、AIやロボットを管理する側に立てる環境を用意することが重要であるといえます。
物流対策においての新たなサービス
最後に、物流対策に役立つ倉庫シェアリングサービスの「WareX」と、倉庫の自動化サポートサービス「Roboware」という新たな2つのサービスをご紹介します。
シェアリング倉庫サービス“WareX”
WareXは、倉庫の空きスペースを荷主様に貸し出したいと考えている事業者様におすすめです。登録・利用・案件紹介にかかる費用は0円で、案件が見つかっても倉庫側の都合で受け入れの可否を返答できるのも嬉しいポイントです。
空坪が無い状態でも登録できて、契約から請求までの業務はオンライン上で完結します。案件はパレット単位で紹介されるので、保管や荷役がしやすいのも特徴です。
https://warex.ai/
倉庫の自動化サポートサービス“Roboware”
倉庫の自動化サポートサービスであるRobowareは、直感的な操作で簡単に物流業務を自動化するロボットを作ることができるのが特徴です。単なるRPAから一歩進んだ複合的なフレームワークで、スピーディーかつ正確に業務を遂行できます。
自動化によりロボットがさまざまな業務を進めてくれるので、従業員の負荷の軽減と人件費をはじめとした物流コストの削減を同時に実現できます。
https://roboware.ai/
まとめ

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