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最終更新日:2022.04.25

公開日:2022.04.25

  • #レポート

【物流DXセミナーレポート】次世代倉庫に求められる自動化・可視化

1. はじめに

はじめに

三菱商事は、2022年2月25日にセイノー情報サービスとの共催で「物流DXセミナー」開催しました。以下、本セミナーにおける弊社セッションの内容をレポート形式でお届けします。

本セミナー開催の背景

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近年、物流分野では労働力不足が顕在化しています。EC・ネット通販の増加による物流、輸送業に対する需要が高まり、特にこの2年はコロナの影響も受け、その増加に拍車がかかっています。一方、少子高齢化、待遇の低さ、長時間労働といった要因で人材の確保も難しくなっていると思われます。こうした人材不足への対応から自動化への取組が必要と考えられているわけです。

最新の技術動向を見ると、物流ロボティクス市場は2019年から2030年までに約11倍、国内AIシステム市場は2019年から2024年までに約5倍という伸びが予測されており、ロボットやAIなどのDXを活用した次世代倉庫の実現による効率化が求められていることが分かります。

そこで、人手不足に対応する最新技術ならびに可視化の必要性を踏まえ、弊社からは物流DXにおいて求められる次世代型物流センターのカタチをお示しするとともに、最新の倉庫ロボット技術、弊社が提供するRobowareについてお話をさせていただきました。

次世代型物流センターのキーワード「変化」・「アジャイル」

弊社は、「Roboware」という倉庫ロボットを「Robot as a Service(RaaS)」というをサブスクリプションで展開しています。私たちが考える「次世代型物流センターのカタチ」では「変化」がテーマになります。

また、システム開発等で使われる専門用語に「アジャイル」という言葉があります。「リーン」という言葉も似たような意味で使われていますが、少しずつ変化に対応しながら改善していくという意味です。「次世代型物流センターのカタチ」については、この「変化」と「アジャイル」というテーマに沿って我々のサービスも含めながら説明させていただきます。

本セッションのアジェンダ

本セッションでは、①次世代の物流センターで考慮すべき「変化」、②次世代のカタチを実現する「コンセプト」、③Robowareが実現する「アジャイルな自動化」――といった3つのアジェンダを用意しています。

①の次世代型物流センターについては様々なカタチが想定されますので、そのカタチを考えるうえでまずどのような「変化」があるのかについて、様々な要素に分けてご説明したいと思います。

②の次世代のカタチについては、こうすればうまくいくと我々が考えている仮設としてのコンセプト、あるいは実例をお示ししたいと考えています。

そして③では、弊社が提供しているRobowareについて説明させていただきたいと思います。

次世代型物流センターで「変化」を考慮すべき理由

では、次世代物流センターで考慮すべき「変化」についてご説明いたします。聴講者の方々も事業戦略や物流戦略の中で次世代型物流センターのカタチについて議論をされているのではないかと思います。国土交通省では昨年策定した物流施策大綱の中で2025年までのロードマップを提示し、その中で物流DXや自動化を重要なテーマとして位置づけています。各社においても次世代のカタチを探り、またその実現のためのアプローチについて経営陣や株主への説明が求められるなど、その重要性に対する認識が深まっていると感じています。

この次世代のカタチは未来像なので、具体的かつビジュアル的にお示しすることは困難です。そのカタチは省人化なのか、機械化なのか、あるいは一般に「ロジスティクス4.0」で言われているような装置産業化なのか、完全自動化も含め、目指すべき次世代のカタチを明らかにすることが重要です。米国やベンチャー企業、スタートアップ企業などでは、出発地からゴールへと緩やかな登り坂を上っていくイラストを計画イメージとしてよく使用します。しかし、現実には、途中に山や池があったり、雨に見舞われたりすることもあります。時間軸が進むにつれ、様々な「変化」が表れてくるわけで、その変化への「対応」が求められることになります。至極当然のことですが、計画策定時に忘れがちなポイントです。

次世代型物流センターで考慮すべき「変化」とは

考慮すべき変化とは、①荷動きの変化、②計画の変化、③戦略の変化――の三つです。Robowareご提案の際に我々がお話しているもので、これらはそれぞれ短期的、中期的、長期的な変化とも言い換えることができます。これら3つの変化への対応が本日の講演のメインです。

(1)荷動きの変化

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まず、荷動きの変化は、いわゆる波動と思っていただいて構いません。波動の要因として季節的なもの、生産調整のような一定期間を経て必ず発生するものが挙げられます。そして、生産と販売の間で発生する在庫調整、もしくは販売状況などもその要因であり、これらによって荷動きに増減、変化が生じることになります。

これに対して次世代のセンターで自動化を考えるとき、自動化のキャパシティと我々が呼ぶ、一定の制約があることを念頭に置かなければなりません。実際の倉庫運営では、作業人員や作業時間の調整により取扱物量や商材の種類の増減にある程度の対応ができますが、自動化設備のキャパシティは一定で簡単に増減できません。日本における自動化設備の導入が一部大手に限定され、遅れているのはこのためで、荷動きの変化に対する自動化設備の課題であると言えます。

(2)計画の変化

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二つ目は計画の変化ですが、これも様々なものがあります。物流事業者様では新規受注であったり、小売業様では通販と店舗の在庫統合であったりなどで、コロナ禍で通常営業が行えず計画を縮小せざる得ないといった場合もあります。このような中期的な変化に対しても自動化のキャパシティの拡張・縮小で対応すればいいのですが、現状の自動化設備では難しいと言わざるを得ません。

(3)戦略の変化

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三つ目は、戦略の変化です。倉庫で言えば、拠点の移設、あるいは増設が最も大きな変化かと思います。倉庫を借りる場合は5年や10年のスパンでご計画されているでしょうし、自社保有の場合は30年くらいのスパンでご計画されると思いますが、その後の情勢の変化で戦略上の変化が生じる可能性があります。

この場合、自動化設備は5~10年、あるいはそれ以上のスパンでキャパシティを設定していますから、簡単には移設することはできません。追加導入もまた困難であり、これが倉庫、あるいはサプライチェーンの課題であると言えます。

(4)計画導入期に「変化」を全て予測することの困難

これら三つの変化を合成して見ると、時間軸の経過で様々な変化が起こり得るわけですが、こうした変化を計画導入期に全て予測することは基本的に困難です。その要因は二つ。

一つは、「変化の考慮不足」です。不足というより不可能と表現すべきかもしれません。一般的に初期計画の情報をもとに自動化設計を行うため、中長期的にずれが生じ、自動化設備のキャパシティに過不足が生じることになります。

もう一つは、「固定的な自動化」です。これはフレームを組んで自動倉庫を導入するなど、固定的な自動化設備を導入することで、変化への対応幅が限られ、キャパシティも固定されることになります。これらは、様々な商材を提供し、サプライチェーン改革を提案してきた弊社が考える限界部分です。

「変化」への対応についての考察

ここからは、次世代のカタチ、あるいは変化への対応と言い換えてもいいと思いますが、そのためのコンセプトについて、物流改善に取り組んでいる皆様と一緒に考えていきたいという提案になります。弊社の取り扱うメイン商材は倉庫ロボットです。ハードウェアが非常にシンプルで、基本的にモーターと電池で動くという点が特長であり、現在、複数メーカーのロボットを扱っていますが、今後はコモディティ化も考えていきたいと思っています。

2点目は、柔軟なソフトウェアです。倉庫ロボットはハードウェアよりもソフトウェアでの差別化が主流です。自動車業界では、トヨタ自動車の時価総額を抜いた米国・テスラモーターズ社が注目を集めましたが、同社は電気自動車よりもその自動運転のためのソフトウェア技術に優れています。ハードウェアとしての電気自動車は他社と大差はないものの、ソフトウェアのアップデートによりできることを増やし、差別化を図っています。

倉庫ロボットも同じです。ハードウェアに大きな違いがなくてもソフトウェアの改良が進むことで、できることが増え、生産性向上も見込めるものとなっています。倉庫ロボットはこれら2つの特長を合わせたものであり、導入台数の増減調整が可能な拡張性に優れるほか、移動できる可搬性も併せ持ちます。

また、これらハードとソフトを利用することにより場所の固定や属人性を排除した業務標準化が図れる点も大きな価値であると考えています。弊社では、標準化につながる自動化をモジュール化ととらえ、これをアジャイルに導入されることを提案しています。アジャイルは冒頭で説明しましたが、物流に合わせて少しずつ、また時間軸の変化に対応して導入していくということです。

「モジュール化」と「アジャイル」とは

ここでモジュール化について説明します。案件に特化した機械的な設計によって自動化を実現するカスタマイズとは反対の概念で、生産性追求に優れますが、同じ仕組みを長期的に活用しなければならず、運用が固定化してしまうという課題があります。一方、モジュール化は、レゴのブロックのようにパーツを組み合わせてモジュールを作るという概念で、倉庫内工程ごとの自動化をモジュール化し、これをコピー&ペーストすることで拡張を進めることができます。これもシンプルな仕組みで柔軟性を持った運用が可能な倉庫ロボットゆえに実現できるものだと言えます。

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次はアジャイルです。この反対概念としてウォーターフォールという言葉があります。これは上流に位置する計画時の情報をもとに、全ての自動化を設計・導入し、長期間運用を行うというもので、上流から下流に計画を実施・展開していくというものです。運用での改修範囲が限定されますので、新しいテクノロジーや計画・戦略の変化への対応が困難であるという課題があります。一方、アジャイルは、モジュールごとに小さく自動化を進め、荷動き・計画・戦略の変化に応じ、最新のテクノロジーを活用して現場を動かしながら少しずつ導入・運用を広げていくことができます。アジャイルな導入・運用では、変化を把握して計画に落とし込むことが必要になります。自動化を運用していく中で、次の変化を予測・明確化し、その変化への対応を図るといったサイクルを続けていくが重要となります。

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簡単に言えば、モジュール化した自動化設備をアジャイルに導入・運用して変化に対応できるセンターを「育てる」というもので、弊社ではこれが次世代のセンターの在り方だと考えています。自動化は、荷動きの変化、計画の変化、戦略の変化といった短期、中期、長期の変化に対応することが重要であり、倉庫ロボットでは、荷動きの変化に対してはロボット台数の増減で対応し、計画の変化に対してはモジュールのコピペによる拡張で対応し、拠点移設のような戦略の変化に対してはハード移設とソフト設定変更による再現で対応することができます。

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Robowareが実現する「アジャイルな自動化」

(1)Robowareの概要と導入メリット

ここからはRobowareについてご紹介させていただきます。Robowareは設計・導入から運用・保守までがオールインワンになった月額制倉庫ロボットサービスです。倉庫ロボットを導入される際にボトルネックとなる課題を解決するもので、倉庫ロボットは冒頭ご紹介したショールームで自ら実証したもののみをご提供しており、弊社が蓄積してきた知見に基づいて導入・運用・保守までをサポートしていますので、お客様に寄り添ったサービスが可能です。

料金プランは、購入(ハードは一括購入、ソフト・保守は月額利用)、レンタル(ハード、ソフト・保守とも月額利用)、ハイブリッド(ハードの一部を一括購入し、ハードの一部およびソフト・保守は月額利用)の3タイプを用意しており、選択できます。波動や計画に合わせてロボット台数を増減することが可能なため、遊休化させずに無駄なく利用することができます。

倉庫ロボットはお客様システムとの連携に加え、作業フローに応じたソフトウェア開発も必要になりますが、Robowareにはすでにその機能が搭載されているため、開発コストをかけずに簡単にロボットを利用することができます。Robowareのウェブサイトでは、ハードウェア、ソフトウェア、運用・保守といったサービスを全て盛り込んだ月額サービスの価格も公開していますので、導入コストをイメージして安心してご検討していただけるものと思います。

(2)Robowareが提供する倉庫ロボットとRanger GTP導入事例の紹介

Robowareで提供する倉庫ロボットのご紹介動画は以下をご覧ください。

Ranger GTPにおけるアジャイル導入の実際の事例をご紹介します。当該事例のお客様では、第1フェーズとして、まずは150坪の作業エリアでRanger GTPを10台、専用棚を100台導入しました。第1フェーズでRanger GTP運用におけるシステム接続や使い勝手などをしっかりと確認し、第2フェーズでは作業エリアを650坪に広げ、ロボット台数・専用棚数をそれぞれ35台、400基と増やし、最終的には第3フェーズにおいて作業エリアが1,400坪、ロボット台数・専用棚数がそれぞれ60~70台、1,100基という規模になりました。同じ倉庫の中でも少しずつ拡大していくことで、事業計画や販売計画などの変化に柔軟かつ的確に対応することができます。

(3)Omni Sorter導入事例の紹介

また、Omni Sorterを導入された日本トータルテレマーケティング様の事例として、同社フルフィルメント事業本部執行役員の三谷達夫様へのインタビュー動画がありますのでご覧ください。

日本トータルテレマーケティング様では、Omni Sorter導入により仕分けから梱包をモジュール化することで、作業品質を高め、作業能力向上を実現していらっしゃいます。今後の拡張戦略においても、モジュール化により他拠点や他フロアへの導入の時間軸を大幅に短縮し、誰でも作業が行えるようにするという日本トータルテレマーケティング様の事業計画につきそい、センターの育成をサポートしていきたいと弊社は考えています。

(4)分析・戦略から導入・運用までトータルサポートするRoboware

Robowareのサービスは、分析・戦略から導入・運用までトータルで、お客様と併走してサポートさせていただくものとなっています。具体的には、まずお客様との面談、倉庫現場の視察を行い、その後、商材や現場の状況などを踏まえて分析を行い、その結果に基づいた初期提案(どのようなロボットがどの程度必要かなど)をさせていただきます。

初期提案以降は、詳細設計、導入、運用と進みますが、弊社がご提供する倉庫ロボットはいずれも量産化できる設計で生産体制も整っていますので、短期でのご導入案件にも十分に対応できると思います。弊社には、倉庫ロボットだけでなくマテハンの導入についても経験があるメンバーが多く、その知見に基づいてのご提案となりますので、分析結果によっては倉庫ロボットをご提案しないということもあり得ます。それだけお客様の悩みや課題に真摯に向き合い、一緒に解決の道を探っていきたいというのが弊社の想いです。現在、倉庫の自動化をご検討されている皆様はぜひお気軽に弊社にお声がけください。

なお、弊社ショールームでは、Robowareでご提供する倉庫ロボットを全てご覧いただけますので、見学をご希望の方はご連絡いただければと存じます。また、オンライン視察会も定例開催していますので、こちらへのご参加もご検討いただければ幸いです。

稟議・配布用に | 事例集PDFはこちらから

Robowareを導入いただいた企業様の中から、OmniSorterとRanger GTPの事例を3社ずつご紹介いたします。

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