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在庫管理の方法として「ロケーション管理」という言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。
庫内で使用される中軽量棚やパレットラックなどの在庫保管設備、特定の床面、商品を入れて移動させるためのカートや容器などに、ロケーション(住所のような番地)を定めて、庫内の商品や道具等の場所を知り、在庫や作業オペレーションを管理する方法です。
商品と置き場所を紐づけることで誰でもすぐに商品の場所が分かり、「倉庫内で商品を探し回る」といった事態を避けることができます。
ここでは、庫内の在庫のロケーション管理に焦点をあてて説明します。商品を移動させるためのカートやオリコンなどのロケーション管理については、別の機会で説明します。
まず、在庫のロケーション管理には、商品の在庫の仕方によって下記3つの方法があります。
それぞれの方法の特徴および向いているケースは次のようになり、自社の商品の特性にあったロケーション管理方法を選ぶ必要があります。
▼ここで分かること
効率的な在庫管理をしていくうえで役立つ情報が網羅されているため、ぜひ最後まで目を通し参考にしてみてください。
商品の置き場(ロケーション)を定めることで、出荷や在庫管理の際に「商品がどこにあるのか分からない」と探し回ることがなくなり、作業の効率化が図ることができますが、ロケーションの決め方が大変重要になります。
ロケーションの決め方が悪いと、せっかくロケーションを定めても作業者がロケーションを探し回ることになり、非効率になります。
ロケーションの管理方法を説明する前に、このロケーション(住所)の決め方を説明します。
ロケーションとは、商品を保管する置き場の住所のことです。ロケーション管理をする場合は、商品に住所を割り当てることが前提となります。ロケーションを割り振ることで次のような効果が期待できます。
(1)ロケーションを与えることで誰でもすぐに商品の場所が分かる
商品に住所(ロケーション)を与えることで、ソフトウェアや台帳による管理が可能になり、誰でもすぐに商品の場所が分かるようになります。出荷や在庫管理の際によくある「商品がどこにあるのか分からない!」といったことを防ぐことができます。
(2)ロケーションの割り当て方は2つある
商品の住所(ロケーション)を割り当てる方法は、2パターンあります。
それぞれを以下でご紹介します。
1)位置が固定されている場所に割り当てる場合
位置が固定されている場合は主に次の場合になります。
中軽量棚やパレットラックで保管する場合は、「どの棚の何段目、何列目か」まで細かくロケーションを定めることが必要ですが、取り扱う商品のサイズによっては、「どの棚の何段目か」まで定めておけば良い場合もあります。一方の床置きはパレットやかご車などを活用する場合が多く、パレットやかご車に対して1個ずつ住所を定める場合と、複数個に対して住所を一つだけ決める場合があります。
取り扱う商品の大きさ、箱単位、パレット単位での数量、倉庫内の商品の動きや作業内容を考慮してロケーションを決めることになります。
また、ロケーションの決め方が非常に重要になります。一定のルールに基づいて規則正しく決めることによって作業者がロケーションを見つけ易くなります。作業者がロケーションを見つけづらいとロケーション管理はできません。そして、ロケ―ションの決め方は棚入れやピッキングなどの方法を決めるソフトウェアに大きな影響を及ぼし、生産性に多大な影響を与えます。
ロケーション管理方法を選ぶ際の前提となる知識となるため、パレットや棚のロケーションの割り振りについて違いを把握しておきましょう。
①パレットに積んだ商品を床置で保管する場合は1パレット単位もしくは複数パレット置けるゾーンでロケーションを割り当てる。
パレット台に商品を積んで保管する場合のロケーションの割り当てについて説明します。
【パレット台に積んだまま荷物を倉庫に保管するイメージ】
パレット台とは、荷物を載せるための荷役台のことです。パレットの上にまとまった荷物を載せてフォークリフトなどの専用車両で荷運びします。
パレットを床置きで保管したい場合には、床に直接線を引いてゾーンを作り、ゾーンに名前を付け保管場所の住所を割り振ります。
パレット台で保管する場合の住所の割り振りのイメージは次の通りです。
パレット台で保管する場合は、床に線で囲まれた各ゾーン名称が、保管された商品固有の住所(ロケーション)となります。
②棚に積んで保管する場合は、ゾーン・棚の列・棚の連・棚の段でロケーションを割り当てる
次に、棚に積んで保管する場合のロケーション方法について説明します。
棚に積んで保管する場合は、保管場所を、「棚のあるゾーン」「棚の番号(列)」「棚の連(横の位置)」「棚の段(縦の位置)」でロケーションを割り振ります。
棚に積んで保管する場合は、「ゾーン→棚の列→棚の連→棚の段」で示される記号や数字が、商品固有の住所(ロケーション)となります。
ロケーション番号 01-2-C05-03E06
2)位置が移動するものに割り当てる場合
かご車やオリコンに商品を入れて移動する場合がありますが、かご車やオリコンにもロケーションを付与し、商品の所在を知ることでより高度な管理が可能になります。このようなロケーション管理については別の機会で紹介します。
次にロケーションの管理の方法について解説します。ロケーション管理の方法は次の3つに大きく分けられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
「固定ロケーション」とは、商品のロケーションを固定し管理することです。商品の種類が少ない場合に限り、商品の保管場所を固定することで商品の場所が覚えやすく、出荷時の作業効率が高い点が特徴です。商品点数が多いと在庫の場所を覚えるのは難しい。熟練者が多い現場で向いています。
<固定ロケーションのメリット>
<固定ロケーションのデメリット>
【固定ロケーションに向いているケース】
固定ロケーションは、簡単な方法で商品の場所が一目でわかりやすく出来るというメリットがあるため、特別な在庫管理システムを持たない企業に向いているといえます。
一方で、商品の入れ替えがあった場合にロケーションを変更する手間がかかるというデメリットがあるため、商品の入れ替えが少ない場合に向いているロケーション管理方法といえます。
「フリーロケーション」とは、商品のロケーションを固定せず、空いているスペースに順に荷物を入れていき保管・管理することです。商品の置き場所を固定せず、スペースを最大限活用できるため、保管効率が高い点が特徴です。
<フリーロケーションのメリット>
<フリーロケーションのデメリット>
【フリーロケーションに向いているケース】
フリーロケーションは、雑貨店のように多品種を扱う場合に向いているといえます。
また、商品の入れ替えが激しい場合も、フリーロケーションは向いています。入れ替えの度に商品のロケーションを変更するといった手間が発生しないため、管理の手間が省けます。
短期間で作業を習得できるため、季節変動が激しく作業者の人数が変動するような場合にも向いている管理方法です。
「ダブルトランザクション」とは、保管場所をピッキングエリアとストックエリアに分け、ピッキングエリアにフリーロケーションを、ストックエリア(補充在庫エリア)に固定ロケーションを使うロケーション管理方法です。
ダブルトランザクションは、固定ロケーションとフリーロケーションを併用するロケーション管理方法です。
<ダブルトランザクションのイメージ>
ダブルトランザクションでは、出荷頻度に比較して商品が大量に入荷された場合の余剰分や、ピッキングエリアに必要以上の在庫が大量に残っているような場合に「ストックエリア(補充在庫エリア)」という固定ロケーションの保管場所に商品を保管します。
必要に応じて「ストックエリア」から商品を「ピッキングエリア」に補充し、フリーロケーションで在庫します。(ピッキングエリアは、出荷時に商品をピッキングしやすいように設けられたエリアです。
<ダブルトランザクションのメリット>
<ダブルトランザクションのデメリット>
【ダブルトランザクションが向いているケース】
ダブルトランザクションは、出荷頻度の高い商品を扱う場合に向いています。ピッキングエリアは出荷時の作業効率をあげることを目的に設けられていることもあり、出荷時間が短縮できます。
また、ダブルトランザクションでは、ストックエリアからピッキングエリアに運ぶ手間がデメリットですが、全てをフリーロケーションで管理しシステム上の在庫区分を補充とピックに分けることにより、補充時間を短縮しダブルドランザクション以上に効率をあげることも可能です。
ロケーション管理は業務効率化に最適な在庫管理の方法であるため、導入がおすすめです。
以下では、ロケーション管理で業務効率化ができる理由と、ケース別のロケーション管理の進め方を紹介します。
現状で、出荷の作業効率が悪い、在庫管理がうまくいっていないなど、倉庫業務に問題を抱えている場合にはぜひ確認するようにしてください。
ロケーション管理で業務効率化ができる理由は、次の3つがあげられます。
ロケーション管理をしない場合、熟練スタッフは商品の場所を覚えていて早くピッキングができるものの、新人スタッフは商品の場所がわからずピッキングに時間がかかります。その点、ロケーション管理を取り入れると、誰でも同じ高いクオリティでピッキング作業ができ、出荷がスムーズになります。
また商品の場所を明確にするとピッキングをする際に商品を探す無駄な動きが少なくなり、ピッキングの動線を最短にすることが可能です。さらに出荷の多い商品は、出口の近くにするなど出荷しやすい場所に保管することでピッキングの動線は短くなり効率は上がります。ロケーション管理ではピッキングの効率を上げることができます。
また在庫管理においても、商品の場所を明確にすることで、特別な管理用の機器を入れていなくても簡単なソフトウェアや帳票で在庫を把握することも可能です。
このようにロケーション管理は在庫管理の効率化にも役立ちます。
ロケーション管理を進めようとしている場合には、
といった2パターンが想定されます。
それぞれのケースについておすすめの進め方を下記に紹介します。
1)新たにロケーション管理を導入しようという場合の進め方
新たにロケーション管理を導入しようという場合には、次の手順でロケーション管理を導入していきます。
詳しくは以下でご説明します。
■【STEP1】自社に合うロケーション管理方法を選ぶ
まず、3種類あるロケーション管理の方法から自社に合った方法を選びます。
3章でご紹介したロケーションの管理方法より特徴を確認して、選ぶようにしましょう。
5章ではタイプ別のおすすめロケーション管理の方法を紹介するため、選ぶ際の参考にして下さい。
■【STEP2】選んだロケーション管理方法を実行する
選んだロケーション管理方法を実行しましょう。各ロケーションのイメージで、商品のロケーションを決め、商品を保管します。
ロケーション管理は、必ずしも在庫管理システムなどのツールが必要なわけではありません。小規模の倉庫であったり、商品に対して管理する人数が多い場合は、紙やホワイトボード、Excelを使ったアナログの管理方法でも管理をすることができます。
ただし、そもそも人手がなく手間をかけられない場合や、アナログ管理が苦手な場合は、次の在庫管理システムの導入を同時に検討しましょう。
■【STEP3】在庫管理システムなど便利ツールの導入を検討する
自社でアナログでのロケーション管理が難しいと感じられる場合は、在庫管理システムなど便利ツールの導入を検討しましょう。
6章にて紹介しているお役立ちツールを参考に、使いたいツールを選択します。使いたい在庫管理システムやツールの当たりがつけば、インターネットなどを活用して、在庫管理システムの販売会社などから2~3社よりすぐって見積もりを取り寄せましょう。
見積もりを取った中から、自社の予算やニーズにあったものを選ぶようにしましょう。
■【STEP4】倉庫ごと外注することを検討する
もし、倉庫そのものの拡充を考えている場合は、倉庫ごとロケーション管理を外部に委託してしまう方法もあります。
8章でも解説しますが、物流倉庫を借りる場合、物流のプロのロケーション管理を利用することができます。在庫管理システムを自社で導入するよりも初期投資費用やランニングコストが安く抑えられる場合もあります。
倉庫の拡充を考えている場合は、ロケーション管理ごと倉庫に任せるという手段もおすすめです。
■【STEP5】効果を測定する
ロケーション管理を導入した後は、効果を測定し、作業効率が上がっているかどうか確認するようにしましょう。
ロケーション管理は、「商品の場所が分からず倉庫内を探し回る」「在庫が一目で分からない」といった出荷と在庫管理の非効率を省くためのものです。
これらの改善が見られない場合は、ロケーション管理の導入の意味がありません。原因を調査したり、別のロケーション管理方法を検討したりするなどして改善するようにしましょう。
2)現状ロケーション管理をしているが改善したい場合の進め方
現状ロケーション管理を改善したい場合には、
といった改善を図ることが考えられます。改善を図るための手順は次の通りとなります。
■【STEP1】現状のロケーション管理方法が最適かどうか検討する
現在採用しているロケーション管理方法が自社にとって最適かどうか検討してみましょう。
3章でご紹介したロケーションの管理方法を参照するなどして、改めて検討してみましょう。
また、5章ではタイプ別のおすすめロケーション管理の方法を紹介するため、自社に合ったロケーション管理方法を確認することもできます。
■【STEP2】現状のロケーション管理方法が最適であれば、便利ツールの導入を検討する
現状のロケーション管理方法が最適であれば、在庫管理システムなど便利ツールの導入を検討しましょう。
ロケーション管理方法のための便利ツールを導入する場合は、6章でご紹介するお役立ちツールを参照して各ツールの特徴を把握し導入するものを選びましょう。
便利ツールの導入でロケーション管理の効率化を図ることができます。
■【STEP3】ロケーション管理方法の変更が必要であれば変更する
現状のロケーション管理方法が最適でなく、変更の必要があれば、最適なロケーション管理方法に変更するようにしましょう。
3章を参照するなどして新たなロケーション管理方法に準じたロケーションに商品を保管します。
ただし、ロケーション管理方法を変える際には、時間と手間がかかることに注意が必要です。商品の場所の入れ替えがあるため、一時的に入出荷の業務効率も下がります。入出荷に余裕のある時期に対処するなどの工夫をするようにしましょう。
■【STEP4】倉庫ごと外注することを検討する
もし、倉庫そのものの拡充を考えている場合は、倉庫ごとロケーション管理を外部に委託することも検討しましょう。
8章でも解説しますが、物流倉庫を借りる場合、物流のプロのロケーション管理を利用することができます。在庫管理システムを自社で導入するよりも初期投資費用やランニングコストが安く抑えられる場合もあります。
倉庫の拡充を考えている場合は、ロケーション管理ごと倉庫に任せるという手段もおすすめです。
■【STEP5】効果を測定する
ロケーション管理を導入した後は、効果を測定し、作業効率が上がっているかどうか確認するようにしましょう。
ロケーション管理は、「商品の場所が分からず倉庫内を探し回る」「在庫が一目で分からない」といった出荷と在庫管理の非効率を省くためのものです。
これらの改善が見られない場合は、原因を調査したり、別のロケーション管理方法を検討したりするなどして改善するようにしましょう。
ロケーション管理方法が3つあることを紹介しましたが、実際にロケーション管理方法を選ぶとなると、どの管理方法を選んでいいのか迷ってしまいますよね。
そこでここでは、各ロケーション管理方法の特徴を踏まえ、タイプ別におすすめのロケーション管理方法を紹介します。
自社に合ったロケーション管理方法を選択するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
商品の入れ替えが少ない場合や取り扱い商品の品目が少ない場合には、「固定ロケーション」がおすすめです。
商品の入れ替えが少ない場合は、固定ロケーションのデメリットであるロケーションの変更の手間がほとんど発生しません。また、商品の取り扱い品目が少ない場合には特に、ロケーションを固定しておくことで、入出荷時も効率よく作業できます。さらに、特別な在庫管理システムを導入していなくても、一目で在庫がわかるなどのメリットもあります。
日用品・食品などを取り扱う個人商店や、特定の商品を大量に扱っている製造業、卸売業、小売業などの在庫管理などで広く活用されており、おすすめです。
商品の入れ替えが激しい商品を扱っている場合には、商品ごとにロケーションを設定することは大きな作業負担となるため、フリーロケーションが向いています。
アパレル店舗や雑貨店など季節や流行に対応するために商品の入れ替えが激しい店舗で、フリーロケーションは広く活用されており、おすすめです。
日付管理やロット管理が必要な場合には「フリーロケーション」がおすすめです。
商品に賞味期限や使用期限があったり、商品の体積が大きくロット単位で出荷するような場合は、商品ごとに保管場所を決めるより、日付単位で商品の置き場を決めたり、サイズ別に置き場を決めた方が、作業場効率が高くなります。このため固定ロケーションよりもフリーロケーションの方が向いているといえます。
実際に日付管理やロット管理が必要な食品・医療用品などを扱う倉庫でフリーロケーションが活用されているため、おすすめです。
多品目を扱い倉庫に保管する在庫の量が多いうえに、出荷頻度が高い特定の定番商品がある場合などには、「ダブルトランザクション」がおすすめです。
ダブルトランザクションで管理する場合は、出荷頻度の高いものをピッキングエリアに多めに補充し、出荷頻度の低いものをストックエリアに保管することができます。ピッキングエリアを動かない在庫で無駄に広くしないことで、ピッキングにかかる時間を短縮することができるなど作業の効率化が図れます。
実際に、大規模スーパー・大型ホームセンターなどで「ダブルトランザクション」は活用されています。取り扱い商品が多く、また特定の商品の出荷頻度が高い場合には、ダブルトランザクションが効率的でよいといえます。
おすすめのロケーション管理方法などを紹介しましたが、実際にロケーション管理方法をする際には、より効率的にロケーション管理をするためのお役立ちツールが多くあります。
人が入出荷数を数えて、紙やホワイトボード、Excelに記録するというアナログなやり方では時間がかかるうえに、数を間違える可能性も高いため、便利なツールやシステムの活用をおすすめします。
お役立ちツールは大きく次の3つに分類分けされます。
それぞれの利用方法や特徴、メリットとデメリットを見ていきましょう。
まずひとつめは、バーコードやQRコードを使ってロケーション管理をする方法です。
商品番号と保管場所のロケーション番号を、バーコードやQRコードにして商品や保管場所にシールで貼ります。入出荷時に、そのバーコードやQRコードを、ハンディターミナルやスマートフォンで読み取ってソフトウェアなどで自動管理します。
バーコードとQRコードの違いは、QRコードの方が多くの情報を表示することができる点です。このため、賞味期限や製造ロットを記録したい情報が多い場合にはQRコードがおすすめです。
バーコードやQRコードを利用するメリット・デメリットには次のようなものがあります。
<バーコードやQRコードを利用するメリット>
<バーコードやQRコードを利用するデメリット>
導入コストは、例えば、WEB上で利用するクラウド型のシステムの場合、月額数万円から利用できるものがあります。初期投資費用としては、例えばハンディターミナルを購入する場合は数千円~20万円前後の費用が発生します。
次に紹介するRFIDよりは費用を抑えて導入できるため、費用を極力抑えて商品とロケーションを自動認識させたい場合にはバーコード・QRコードの導入がおすすめです。
RFID(Radio Frequency Identification)とは、専用タグのメモリに記録された商品やロケーションデータを、専用のリーダー機器より非接触で読み取り、専用のソフトウェアで管理する方法です。
RFID専用のICタグは、バーコードやQRコードに代わる新しい非接触の自動認識技術として、交通系ICカードや電子マネー、車のスマートキーで利用されています。
RFIDは、バーコードやQRコードと同様に専用のリーダーで読み取りますが、次のようなメリットがあります。
<RFIDを利用するメリット>
RFIDは、一つずつタグを読み取らなくても一括で読み取ることができるため、作業時間や手間が省け作業効率があがります。また、バーコードなどのシールは濡れたり擦れたりして正確な情報が読み取れなくなることがありますが、RFIDのタグは半永久的に使え正確な情報が読み取れます。このため、ロケーション管理について高い精度を維持することができます。
また、RFIDの専用タグは、商品の精算用にも使え、例えば大手アパレルなどで、レジの無人化、精算時間の短縮によるレジの行列解消などに活用されています。
RFIDを利用するデメリットには下記のようなものがあります。
<RFIDを利用するデメリット>
導入コスト・ランニングコストについては、例えば、専用タグの値段は年々下落傾向にあるものの、通常タグで5円前後、金属の影響を受けにくい金属対応タグは100円前後します。RFIDリーダーはハンディタイプの場合4千円前後のものから20万円前後ものがあり、ゲート型は数百万円します。アプリケーションの月額利用料は運営会社によってさまざまです。
RFIDは年々導入費用が下落傾向にあり導入の敷居が低くなってきています。大量の商品を扱う大手小売業で多く活用されています。
IoT(Internet of Things)重量計を活用したロケーション管理方法もあります。
IoT重量計によるロケーション管理方法とは、専用の重量計に在庫をのせて、インターネット経由でリアルタイムに在庫情報を読み取る在庫管理の方法を紹介します。
重量計で在庫の重さを図ることで在庫の増減を測定しアプリケーションでデータ管理ができます。最初に商品登録さえすればあまり人手のかからないロケーション管理ツールです。
IoT重量計を使ったロケーション管理のメリットとデメリットは次の点です。
<IoT重量計を使ったロケーション管理のメリット>
< IoT重量計を使ったロケーション管理のデメリット>
IoT重量計での在庫管理の仕組みは比較的新しい管理システムのため、現場スタッフが運用に慣れて定着するまでに時間がかかる傾向があります。
ちなみに、導入コストやランニングコストについては、重量計デバイス・アプリケーションの提供会社によって異なり、重量計・アプリが月額数万円から利用できるケースもあります。
比較的安く導入できるケースもあり、小型部品などを扱う製造業などで広く導入されています。
ロケーション管理方法について具体的に紹介してきましたが、最後にロケーション管理を行う際の注意点について解説します。
ロケーション管理に失敗しないためにも、ロケーション管理を行う前に確認しておくことをおすすめします。
詳しくは次の通りです。
ロケーション管理においては、倉庫のレイアウトに注意するようにしましょう。
例えば、以下のような配慮がレイアウトには必要です。
ロケーション管理ではロケーションを決めるまえに、荷物の移動のしやすさなど動線に配慮したレイアウトにすることが大切です。
Excelでのロケーション管理は正確・効率的ではないためあまり利用はおすすめしません。
ロケーション管理を行う際に、入出荷時に商品数とロケーションを確認し、人の手によってExcelファイルで情報管理を行うケースが少なくありません。
Excelを使う場合、入力や集計に手間取ることがあるほか、常に最新の情報を維持するのが難しかったり、人為的ミスで正確な情報が把握できなかったりするデメリットがあります。
手間がかかって人件費がかかるほか、在庫を適切に補充できず売り逃しなどの機会損失にもつながるため、お役立ちツールなどを参照し、アプリなどの導入などを検討するとよいでしょう。比較的安価に利用できるものもあるためおすすめです。
ロケーション管理方法やロケーション管理ツールの長所と短所を踏まえて、向いている管理方法を選ぶようにしましょう。
例えば、ダブルトランザクションは、ストックエリアからピッキングエリアに荷物を頻繁に運ぶため、在庫を移動させにくい大型機器などの保管には向いていません。それにもかかわらず、大型機器の在庫管理に使ってしまうといったことのないように注意しましょう。
ロケーション管理方法やツールを選ぶ際には、そのメリット・デメリットといった特性をよく把握して選ぶようにしましょう。
ロケーション管理方法やロケーション管理方法の便利ツールを紹介しましたが、「実際やるとなるとコストも時間もかかって大変そう」と不安になることもあるのではないでしょうか。
もし、現状の倉庫が手狭になっていて、倉庫の確保も同時に考えているようであれば、物流倉庫を借りてロケーション管理ごと委託するという選択肢もあります。
物流倉庫とは、商品の「保管」のほかに、「入荷」「在庫管理」「ピッキング」「梱包」「出荷」などの物流業務を請け負ってくれる倉庫のことです。
物流業務をどの程度請け負うかは物流倉庫会社ごとに異なりますが、在庫管理は基本的にほとんどの物流会社で請け負っています。
物流倉庫には、ロケーション管理のために必要な設備・機材・人材が整っているため、ロケーション管理を委託することができます。物流倉庫は、多くの利用会社で機材・人材・設備をシェアして使うため、自社で設備・機材・人材を確保するよりもコストを抑えて利用することが可能です。
ただし、注意点としては、サービスの質が物流倉庫ごとに異なる点です。このため、物流倉庫に委託する際には、事前に見学をするなどしてサービスの品質を確認するようにしましょう。
もしロケーション管理などの物流業務を委託したい場合は、物流倉庫の利用を検討してみることがおすすめです。
ロケーション管理について次の3つの方法があることを解説しました。
それぞれのロケーション管理方法にはメリットとデメリットがあるため、おすすめの管理方法がタイプ別で下記のように異なります。
ロケーション管理を効率的に行うためには、「バーコード・QRコード」「RFID」「IoT重量計」など便利なツールを活用することがおすすめです。
ロケーション管理を行う際には、ロケーション管理方法やロケーション管理ツールの特性をよく理解して手段を選ぶようにしましょう。ロケーション管理に悩む場合は、物流倉庫に一括して委託する選択手段もあります。
これらの情報を、効率的なロケーション管理を行うために、ぜひ役立ててください。